音楽家

素晴らしい音楽家について思う。

夜、一人きりで真っ暗な部屋の中。
彼が行きたい場所、そこへ行くために懸命に耳を世界に傾ける。

まったく音楽はどこからやってくるのだろう。

僕は毎秒毎秒、空気に魂とか呼吸とか皮膚とかを譲り渡して
より長生きできるよう交渉し続けている。

そして何かを手に入れるのだ。
何かを失って何かを手に入れる。

その素晴らしい音楽家は毎日を生きている。
それだけだ。
それだけなのに素晴らしい。

どうか明日も訪れますように。
永遠なんて、はなからなかった。