「Take it easy」発売に寄せて

新作「Take it easy」がいよいよあさって21日に全国発売となります。
今回の6曲がどんなふうに形になったかをここで書きたいと思います。
聴いていただいて感じたことがちょっとでも膨らんでもらえたら幸いです。

それでは、ドウゾ!

1、うわさを信じるかい

この曲の出発点はこの言葉でした。
「明日大きな地震がくるらしいぞ」
去年の東北地震の不安がまだ残る中ツイッターでこんなうわさで騒がれていたのです。
僕はとても嫌な気持ちになって、で、考えた。
そもそも僕はありもしないこと、噂を信じて楽しんだり恐れたりしていたんだなって。
僕の大好きなビーチボーイズだとかビートルズだとか、
僕は会ったこともなければ当時聴いていたわけでもない。
人間と時間が作り上げてきた一方的な伝説が頭の中に入り込んできていたわけだったって。
本当のことを知るだけが全てじゃなかったってこと。
それが正しいのかどうかは正直分かりません。
だって「噂」を完全に排除してこの世界で生きていくのは困難だから。
噂を信じることで幸せになれるんだったらって。でも幸せってなんだい?
でも。
「なんとなく嬉しく感じたとか、涙がぽろっとなったり、この人のこと何かいいな。」
こんな時は”うわさ”を越えた何かに触れられた時なんだろうなって思う。

メロトロンを初導入しました。
そしてブリブリのベースに転がる太鼓。
歌がメインだけど4人のバンドサウンドがよく出ている個人的にとても好きな曲です。
この曲を新宿のredclothで演ったことでDEWマキノさんとお仕事することになった、
2012年の新しいあすなろうの第一歩としてとても大事な曲です。


2、こわいことばかり

1人でスタジオ入ってドラムの叩き語りしていたら、
このビートと、「こわいね〜」が出てきたもんでさっとレコーディング当日に完成させた曲。
チェンジしていくコードの中で、
まったくコードチェンジしないピアノの連打がなんかこわい雰囲気出とるよね。
歌詞は一気に書き上げたもので、わかりやすいものほどこわいなってことです。
タダほどこわいものはないなの世界です。
こわくないふり、心の余裕を持ちたいが為にお金を払う。
お金を払って新しい技術が生まれたらそれを利用してまた新しいこわいことがおこる。
そしたらそれを防ぐために新しい防御が生まれて、
そしてそれによってまたこわいことがおこる。
この曲の主人公は苦しんでるね〜、でも僕は一抜けた!!


3、手紙を書くわ

この曲ライブやる時に必ずMCで言うのだけど。
金沢にこんなおばあさんがいる。
20歳くらいで結婚してその後すぐに旦那さんは戦争に行ってしまった。
その後、旦那さんは帰ってくることはなかった。
でもそのおばあちゃんは90歳くらいまでずっと帰りを待っていた。
毎日のように化粧をして待っていた。
そのおばあさんは、
兼六園に行くと若いカップルがデートしているから嫉妬しちゃってあまり行けないのと語っていた。
僕は何も言えなくなって、この曲に取り組んだ。
メロディに僕の中のおばあさんの気持ちを練り込んだ。
歌詞は自然と出てきた。コード進行は極力少なめに。
恭ちゃんのファズギターがこれまたどこに向かっていいかわからない気持ちを現してる。
僕の中のハイライトはアウトロのアルペジオのつづれおり。



4、からっぽのままで

僕の持論があって。
人間は実は3才くらいの頃が一番最強なんじゃないかと。
もちろん人間として生きていく上で
いろんなことを学んで叱られて成長してかなきゃいかんのだけど。
余計なものまで抱え込んでいく気がしてならない。
知識が増えると余計な遠回りをして、気が付けば率直に感じたことをどこかに隠したりする。
気が付けば率直に感じたことがなんなのかもわからんくなる。
おそろしいことだと思う。
3歳児の素直に「好き!」をちゃんと大事にして大人になろうとする、これはラブソングです。
サウンド的にはDEWマキノさんの遊びがたくさん入ってて
レコーディング中どんどん変わっていくサウンドに4人ずっと興奮しておりました。


5、おばけになっても

よく見る夢を歌にした曲です。
朝起きたら僕はおばけになっていて誰も僕に気が付かないっていうね。
結局おばけになっても何でも欲しがったり、すねたりするのは変わらんのかなって。
ドゥーワップギターポップをうまいことミックスしたところに
ぶりぶりのベースとドカドカドラム。
この4人でのポップとロックのバランスが絶妙な一曲だと思ってます。


6、夜明け前

昨年の地震のあと。
ただシンプルなことがどれだけ大切で素晴らしいかってことを思って作った曲です。
この曲に関しては以上。


それではまた、お会いしましょう。